10年間のEC運営の中で、数名のスタッフを雇用していた時期がありました。
自分がプレイヤーとして業務に取り組む時とは異なる、「マネジメント力」が問われる場面が多くありました。
EC業界の経営者を見ていると、店舗運営のスタイルや人材の活用方法は本当にさまざまです。
そこで今回は、私自身が人を雇用した際の経験や、同業者たちの雇用スタイルの違いも交えながら、「一人起業でも人を雇うべきか?」というテーマについてお話ししていきます。
ECビジネスで初めてのスタッフ雇用を考えるとき

私の個人事業時代、初めて一人のスタッフを雇ったのが始まりでした。
当時は商品梱包や発送、在庫・顧客管理などの業務をすべて一人でこなしておりましたが売上が安定してくると「そろそろ人を雇うべきか?」という悩みが出てきます。
それまで数年間は一人でビジネスをしていたため、誰かと一緒に働く環境はとても新鮮でした。
しかし同時に、「もしかすると自分のやり方にも改善すべき点があったのでは」と考えることもありました。
そこで、サービス残業をさせない、社会保険を完備する、年2回の賞与を支給するなど、できるだけブラック企業にならないよう環境づくりに力を入れました。
こうした取り組みを経て、スタッフ募集を再開すると、少しずつ仲間が増えていったのです。
零細企業に応募してくる人
私のような零細企業に応募してくれるのは、パート感覚で働きたい女性の方が大半でした。
しかし、面接だけでは限られた時間の中で相手の人となりを深く知ることは難しいものです。
当時の私が採用の際に最も重視していたのは、「明るく元気があるか」という点でした。
どうせ一緒に働くなら、楽しく前向きに仕事ができる人とチームを作りたい――そう考えていたからです。
雇用して分かったスタッフたちの個性
何人かスタッフを雇ってみて感じたのは、やはり一人ひとりに個性があるということです。
例えば、仕事は早いけれど気が利かない人もいれば、仕事は遅いけれど細やかな気配りができる人もいます。
また、褒めると一気に伸びるタイプの人もいました。
私は、スタッフごとに接し方を大きく変えることはしませんでした。
その方が平等性を保てると考えていたからです。
雇っているのにストレスを抱える
人が作業する以上、ヒューマンエラーは避けられません。
そのため、ミスがあってもスタッフを叱ることはありませんでした。
しかし、全員がこちらの指示を素直に聞いてくれるわけではありません。
雇っている立場にもかかわらず、人間関係でストレスを抱えることになるとは、当初は想像もしていませんでした。
思い通りにいかない場面が多く、人を雇って初めて「昔の上司の気持ち」が分かったと実感したのです。
雇用は難しいから自分はプレイヤー
自分の業務だけでなく、人の管理をするというのは、思っていた以上に大変な作業でした。
こちらの思惑通りに動いてくれるわけではないため、雇っている立場でありながらも、ストレスを感じる時期もありました。
雇用を拡大して会社を成長させる社長さんには、2つのタイプがあると感じています。
- 社長自身にプライドがない人
- 社員全員に嫌われてもまったく動じない人
もしこのどちらにも当てはまらないのであれば、無理に人を雇うよりも、自分がプレイヤーとして運営していく方が良いと思います。
正直、私には雇用は難しすぎました。
今後、気持ちが変わらない限りは、再び人を雇うことはないでしょう。
今回は以上です。